2008年10月21日

モザイク@サンタ・プラッセーデ教会inローマ  

2008年10月06日 1日目ー3

角を曲がったところにあったのは、巨大なサンタ・マリア大聖堂とは全く趣の違う建物だった。ドアに[BASILICA di S.PRASSEDE]と書いてあるから間違いないけれど、普通の家より簡素な造りだ。

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奥にロマネスク建築の部分が見える。古い煉瓦の色がとてもすてき。

中に入るとミサをやっている最中だった。良く聞くと英語だ。アメリカ人の団体のためにやっているらしい。アプシスまで見に行く勇気がないので、目的のサン・ゼニーノ(ヴェローナのサン・ゼノ)礼拝堂にすぐに入った。

入り口の上のモザイク。すぐ近くに見えて感激。

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キリストを中心に12使徒。下の段には聖母子を中心にサンタ・プラッセーデ、サンタ・プデンツィアーノなどの聖女がいる。男性が2人いるが、ひとりはサン・ゼノだろうか。

中に入ると! まあ素敵。小さな礼拝堂の四方の壁と天井はぎっしりとモザイクで埋まっていて一瞬、ラヴェンナのガッラ・プラチーディアの霊廟に戻った気がした。

しかし、ラヴェンナは5世紀、こちらは9世紀の作品で、天使のプロポーションが違う。ラファエル前派のサー・エドワード・バーン=ジョーンズの絵のように優雅で洗練されている。

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ペテロとパウロが十字の書かれた王冠を指差している。

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左の人物が持っているものを拡大すると聖書なので、4人の福音書記者のうちひとりだと思う。右のふたりは分からない。

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この3人は様式化されていて個性が消えているが、サンタ・プラッセーデとサンタ・プデンツィアーナと、やはりローマに自分の教会を持って祭られている当時大人気のアグネスである。

天使が掲げる円の中にはキリスト。

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後ろ側の壁。キリストは神の子羊で表されている。4匹の山羊が天国の4つの川の水を飲んでいる。

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その下の4人の女性は誰だろう。右から2番目の青いマントの女性は聖母マリアである。残りの2人には光輪があり、1人はシスターのようだ。

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しかし、ここは修道院ではないので、シスターがいるわけがない。原画を拡大して見ると、この女性だけ、名前が書いてあった。テオドラ・エピスコパ。

調べてみると、この教会を創設させた法王パスカリス一世の母親だった。権力者って、身内をマリア様と一緒に公共の場に飾るのね。けしからん! 

え? なんとこの礼拝堂は自分の母親のために作られたんですって。信じられな〜〜い。

左から2番目はマリアの次にこの教会にとって大事だと思われるので、サンタ・プラッセーデ。胸に十字架の飾りがあるのは、キリスト教徒を救って殉教したという印か? 

すると、右端は彼女の姉妹で別の教会を持っているサンタ・プデンツィアーナだ。こちらのほうが美人だったのかしら? それにしても、彼女たちはローマの人なのにビザンチン風に描かれていておかしい。

★ところが、米国のある解説にはこの私がマリアだと思う女性がプデンツィアーナで右はアグネスだと書いてあった。違うと思う。衣装が違う。

こちらがご本尊の聖母子像。幼子のはずのキリストが青年みたいな顔をしている。手には例の主張、"EGO SUM LUX"「我は光なり」 両側にはサンタ・プラッセーデとサンタ・プデンツィアーナ。

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さて、マリアの顔の両側にあるモノグラム。左はMRの組み合わせだと思う。ギリシャ文字の場合はMPだが、こちらはローマ字だ。MARIA REGINAの略。reginaはqueenの意味。女王といってもqueen of heaven, 天国の女王なのだ。

すると、右のQHは天国のということだろうか、ギリシャ文字ではQ(theta)Y(upsilon)と書いてあるのは良く見るのだけれど、同じことだろうか。最近図像学から離れているので勘が戻らない。

ああだろうか、こうだろうか、と自問する私のモザイク解読。夫なんて、ばんばん飛ばし読み(注:「飛ばし読みなんかしていない」って「一番のファンなんだぞ」って怒っていた)。でも、驚くことに、このブログで一番アクセスが多いのが、古代ローマのモザイク解読なのだ。

きっと古代推理ファンがいるのね。たぶん、ネットには解説ばかりで、実際に行って考えた人の話がないのね。そういうことなら張り切ります。

この教会のアプシスのモザイクも、ベルニーニが17歳で作ったというG.B. Santoniのお墓も見逃したから、またローマに行かなくちゃならない。んん? これで最後だったんじゃない?
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posted by iconologist at 11:30| Comment(0) | '08 ローマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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