2008年10月23日

サンタ・マリア・イン・トラステヴェレ教会のモザイク解読

2008年 10月06日 1日目ー5

ファサードのモザイクを見てから、中に入った。遠くに目指すモザイクが見えるが、まずは左右の列柱に注目。古代ローマの建築物がこの教会の基礎だったことが分かる。ここは軍人の施設があったところ。

2008年10月16日 628.jpg

説教壇の上部のつまらない建物がアプシスの美しさを妨害している。雨が降るわけじゃないのに、どうして坊主にはこういう重々しい屋根つきの説教壇が必要なのかと、いつも思う。

手前は後代のフレスコ画なので、アプシスに進む。この12世紀のモザイクの題は[マリアの戴冠] しかし、初期の時代には[マリアの戴冠]はマリアを主役とはしていない。礼拝の対象の一部である。

2008年10月16日 042-a.jpg

その証拠に中央にいるのは[キリスト]、その頭の上には[神の手]、その上には[XとPを重ねたchi-roと呼ばれるキリストのエンブレム]、その上には[アルファとオメガの全能の神のエンブレム](アルファは大文字でだがオメガには小文字のωが使われている)。これは「我はアルファ(始まり)でありオメガ(終わり)である」という言葉から作られている。

神とキリストの4段重ね。マリアはよけ者の宇宙。

そして、面白いのが一番上の絵。左の天使のようなのはマタイ(天使ではなく人間に羽が生えている)、右の鷲はヨハネ。下にIOHSと書いてあるが、Iはギリシャ文字のJである。

すると、さらに残りのふたりの福音書記者がいるわけで、あ、いました。羽の生えた牛のルカ。すると、残りのライオンのマルコは左端にいるはず。

2008年10月16日 049.jpg

さて、右の白髪の人物。長い巻物を広げていると、預言者。HIEREMIASPPHAと書いてあるが誰だかわからない。

預言者は左側の壁にもいる。

2008年10月16日 045-a.jpg

下にはISAIASPPHAと書いてある。そこで、右との共通項PPHAが預言者の意味だろうから、これを取るとISAIAとなる。この人、知ってる! イザヤだ。

イザヤは旧約聖書の4大預言者のうちでもキリストと同じエッサイの家系に繋がり処女懐胎の予言をしたので良く絵にでてくる。

宗教画に対で描かれるのはいつもエレミアである。彼はキリストの出現を予言した。ということで、右の預言者はエレミアということになる。字も似ている。

端っこばかり見てきたが、いよいよ、アプシスの美しい丸い部分。後輪を付けた子羊(=きりすと)の両側に12使途の羊が並ぶ。羊の後ろに街が描かれている。たいていエルサレムである。

2008年10月16日 047.jpg

キリストとマリアの両側にはいやにリアルな坊主たちが並ぶ。聖職者や殉教者やこの教会の建築に寄与した人。下に名前が書いてあるが、こういう人たちには興味がない。
 
ここでマリアはほんの添え物である。だからか、[地球の歩き方]では[Redentore e Maria in trono]を[キリストと聖母] と簡略して訳してあるが、やはりtrono=王冠は大事よ。

拡大してみよう、キリストの持つ紙にはこう書いてある。初めのVは指で隠れているが、[VENIELECTAMEAETPONAMTEINTHRONUMMEUM]

2008年10月16日 047.jpg

難解みたいだが、単語に区切れば検討がつく。[veni electa mea et ponam te in thonum meum] 「来なさい、私の、選らんだ者、君に、私の、王冠を、授けよう」ってなところかな。

さて、ラブチェアに座るキリストとマリアは夫婦のように見える。ラブチェアの両側には間違いを犯さないように(爆)、マリアの純潔の象徴のユリが飾られている。

マリアは若々しく、いつもの青のマントではなく宝石の輝く衣装を見につけている。これはこの日からマリアが天の女王(Regina coeli)になるからで、MR(Maria Regina)と略される。

とても、素敵な絵だった。でもビザンチンの影響のあるキリストの顔は夫に似ているので困る。あのギョロ目を見ると、「早く帰って来い」と叱られる気がするので、視線を避ける。
.
.
この後、ベルニーニの[福者ルドヴィカ]があるS.フランチェスコ・ア・リーパ教会に行ったが、今回はこちらがお葬式のために見られなかった。ルドヴィカは一番前の左側の礼拝堂にあるのだ。

お葬式と言っても、中には入れる。列席している人は普段着がほとんどなので初めはお葬式とはわからなかったが、説教で「マリア姉は、なんとかかんとか」と言うので葬式だとわかった。

いつも疑問に思うのだけれど、どうして日本では参列者までみんな真っ黒でカラスの軍団みたいなんだろう。男は全員葬儀屋みたいで、女は靴下まで黒く未亡人みたいな成りで、真珠は許されるということで競って真珠をつけている。私はそういう服を持っていないので、お葬式には行かない。
posted by iconologist at 11:15| Comment(0) | '08 ローマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
,
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。