この素敵なヴィッラ・ジュリアになぜもっと人が来ないのかというと、まずは遠いこと、そして、マイナーなエトルリア美術があるだけだからだろう。
しかし、ここには身に着ける宝飾品などの美しい細工物もたくさん展示してある。どれもしゃれていて、手が込んでいて、アンティークショップ巡りをするみたいに楽しい。私が以前によくスケッチして楽しんだのはこういうものだった。
女性の装飾品や家庭で使うものが多いというのはエトルリアでは女性の地位が高かったということだ。男性優位のギリシャ・ローマ文明より親近感が沸く。
もちろん、エトルリア文明の代表的なもの、寝棺(Sacrofago)を忘れてはいけない。その中でも、夫婦の寝棺(Sacrofago degli Sposi)は宴席も常に夫婦で参加したエトルリア人たちの生活を偲ばせて面白い。

この寝棺だけ見たければ、入って左に進むと2階に通じるドアがある(いつも開いている)。ここをさっさと登って一番端っこにある。私はこの寝棺とフィレンツェの考古学博物館にあるこの美女の寝棺が好きだ。
もうひとつの傑作はApollo di Veio。ヴェイオで出土した[ヘラクレスと戦うアポロ]

このテラコッタの彫像はミネルヴァ神殿の屋根の上にあったもの。今日見ることができるのは奇跡だ。

アーモンド型の目は東方的で、アルカイック・スマイルはちょっと夢に出てきそうに怖いが刺激的。
美術館の2階から神殿が見える。19世紀末に復元されたエトルリアの神殿である。

装飾はテラコッタなのだが、木のように見え、デザインもアジアのどこかの寺にありそうだ。

復元とはいえ、昔あったように屋外に展示されているわけで、古代を偲ぶことができる。

ヴィッラ・ジュリアの美術館は前の日記に書いた素晴らしいロッジャのある建物の2階と翼の一階にあるのだが、外観と違ってとても近代的な美術館である。何より、documentationがしっかりとしていて、興味が尽きない。
ヴォルテッラの博物館では寝棺が山積みにされているだけで、説明がほとんどなかった。あれではエトルリア文明の良さが認識されない。
何度も行ったところなので、また行くつもりではなかったが、ロンドンのK姉さんが是非行きたいということで行った。何度行ってもわくわくする美術館だった。
この後はショップでタクシーを呼んでもらって、Sマリア・ソプラ・ミネルヴァ教会に向かった。
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