2008年10月31日

バルベリーニ宮殿、国立古典絵画館

2008年10月08日 3日目ー1

クワットロ・フォンターネへの往復で、バルベリーニ宮の前を通ったが、この女性の絵が気になった。この美術館の目玉商品なんだろうが、品がない。私の知っている姉妹の若いころに似ている。

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そうしたら、ラファエッロが恋人を描いた絵だという。嘘でしょう。こんなひどい絵をラファエッロが描くはずがない。でも、ウルビーノのラファエッロ作とサインしてあるのだ。

帰ってから調べたら、この絵は1520年の作品だった。亡くなった年である。このころラファエッロはローマで法王から依頼されたデザインのお仕事とかをこなしていた。だからパンテオンに埋葬されたのだろうが、こういう絵をコツコツと絵を描く生活ではなかった。

それでもサインがあるからラファエッロの作品というのだが、間違いなくアトリエ作品だ。左腕と手の描き方の下手なところを見てよ。

最近ではこの時期は、下絵のデザインさえしていなかったと言われているらしい。あ〜、良かった、ラファエッロの絵だと思わないで良かった。

中に入ると、首切りするユディットとか、バロック期に流行ったテーマが多く、そう面白い絵はなかった。一番良かったのは、ホルバインの[ヘンリー8世]だろうか。

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アンと再婚するときの結婚式の衣装でめかしこんでいる姿だ。すると、K姉さんが、「見て見て、面白いものがあるわ」とこの絵の上にかかっている絵を指差した。「トーマス・アキナスよ、ヘンリーが離婚してアンと再婚するために国教を作ったのに反対して殺された人よ」

なるほど。イタリアはカトリックだからヘンリー8世の上にトーマス・モアを掲げたのかしら。こういうところに、キュレーターのセンスを感じる。

しかし、私が見たかったフィリッポ・リッピの受胎告知は修復中で飾られていなかった。

本などでは、フィリッポ・リッピのもうひとつの作品、聖母子(タルクイニアのマドンナ]が傑作となっている。これも修復中で見ることができなかったのだが、1437年の作品で、マザッチョの影響を強く受けている。

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ウグイス色の顔色、グロテスクな形の幼子。マザッチョは美術史的にはルネッサンスの一番初めの画家ということでみんなが真似したわけで重要だが、心打たれる画風というわけではない。

フィリッポ・リッピはとても他人に影響を受けやすいみたいで、次はフラ・アンジェリコに傾倒した。それが細部にまで感じられるこの絵(1440年)が私の見たかったもの。

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この時期の聖母マリアは若い売り出し中の女優みたいにかわいい。(この後はドーリア・パンフィーリ宮殿のこの受胎告知みたいに地味になる) 
なぜ評価がされないかというと、右の2人の不細工な男たち(寄進者)を弟子が描いたかららしい。絵葉書でもここがカットされていたが、この男たちがいることで、マリアが中央に立つというめずらしい受胎告知の構図になっている。バランス的には良いんじゃないの?

中央の有名な天井画の間は立派だったが、天井が高くてじっくり観る気にならなかった。ところが、そこで終わりだった。バルベリーニ宮殿は外から見るとわからないが修復中で2階の絵画室だけが見られる。有名な螺旋階段にも近づけなかった。

また同じ道を引き返すのかしら、と係りのおじさんに聞いたら、「そうです。一枚のチケットで2回見られます」というナイスな返事。

そこで、ずっと気になっていたことを聞いてみた。

マグダラのマリアが胸を押さえて天を見上げる絵で骸骨付きのものが3つほどあったが、どれもMaddalena Penitenteと書いてあった。

「マグダラのマリアの題のPENITENTEってどういう意味ですか?」
するとおじさんは悔悛するという意味だと言った。あ、そうか、イタリア語でPENAって罪だったわね。でも私は、娼婦だったくらいで足元に骸骨転がされて許しを請わせるってやりすぎじゃないかと思う。

「マリアはどんな罪を犯したの、カトリック的な絵ね」
すると、ちょっと離れたところにいた女の係官が、「カトリック的じゃなくて全キリスト教的よ、だって人類の罪ですもの」と言った。

こういう絵が好んで描かれたのは、彼女が娼婦だったからではなく、地位を貶めるためだ。

バルベリーニ国立古典絵画館は修復が終われば立派になると思う。すでに書籍売り場の充実はすごかった。昔は本屋で探さなければなかった図像学の本がシリーズで発行されているのに感激した。

写真をたくさん載せて解説していて、これがそのまま日本語訳されれば嬉しいなあ。写真は私が選んだものも多くあって、やはり使える絵って同じだわ、と思った。15ユーロだったし、重かったので、[
シンボルとアレゴリー]
だけを買ったが、全部買えば良かった。
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posted by iconologist at 15:54| Comment(0) | '08 ローマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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