2008年02月11日

古代後期ローマン・モザイクの解読@カサーレ荘 VII

Vestibule of Polyphemus オデュッセウスとポリュペモスの玄関

醜い裸体をさらけ出して山羊の内蔵を食べている三つ目男。このモザイクはもちろん寝室ではなく、小さなホールにある。

CIMG1738sm.jpg

目を背けたくなる絵なのだが、良く見ると、ある物語の1シーンだとわかる。

大男の2つの普通の目に惑わされないで、額の一つ目に注目すると、一つ目の巨人である。ホメロスの叙事詩、[オデュッセイア]の4編、一つ目の巨人に捕まったオデュッセウスが脱出の策略を試みるところだ。オデュッセウスは大きな盃を差し出している。

その後ろに次の酒を用意する部下が2人いる。強い酒を飲ませて眠らせ、そのスキに一つ目を棒で突いて見えなくするのだ。

普通の目が残っているのは、ポリュペモスは人間の血を半分引いているので、情けで付けてあげたのかもしれない。実際3つあったら、3回も突かなければならないので、お話では一つ目である。

ポリュペモスは強く、目を突かれただけでは参らず、オデュッセウスたちを追い回す。そのとき隠れたのが、羊のお腹の下。この絵の下に小さい羊が何頭か描かれているが、隠れたのは巨大な羊の陰だった。

これは頭の良い策略だった。羊たちは朝になると、洞窟の外に草を食べに出されてしまうので、一緒に逃げたのである。

ホメロスの叙事詩というとロマンチックに聞こえるが、男の考えた男のための物語で、いろいろな敵と戦いながら戻ったら、今度は妻と関係した男を全員殺すのである。

まあ、文学も芸術もついこの間までは全て男のためのものだったから、それを拒否していては古代美術は楽しめない。といっても、楽しめるモザイクではないわ。

インデックスカサーレ荘概要のページにあります。
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posted by iconologist at 17:28| Comment(0) | '06 古代ローマン・モザイクの解読 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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