2008年02月14日

古代後期ローマン・モザイクの解読@カサーレ荘 XIV

Hall with the Legend of Poet Arion 詩人アリオンのホール

この部屋は別荘の所有者のリヴィング・ルーム、またはライブラリーとして使われていたと思われる大きな部屋で、面積は7mX8m、天井も高い。

そして、素晴らしいモザイクの保存も良いので、このガラスの天井から照りつける太陽光で見えなくなっていて残念でたまらない。

CIMG1728.jpg

光で白くなった中央の左側に薄く見えるのが主人公の詩人、アリオン。詩人といってもむかしは歌う吟遊詩人なのでチターラ(ギター)を持っている。乗っているのはいるかで、上の赤い布は両側の天使がアリオンの上にかけて日差しをさえぎっているもの。

ギリシャ神話の情景というと、ルネッサンスではやたらと裸のヴィーナスを描いて喜んでいたが、ここに描かれているのはシチリアに縁のある神話だ。

アリオンはコリントスの吟遊詩人で、シチリアで開かれたコンテストに出場する。優勝して大金をもらうが、帰りの船の中で船乗りたちに襲われてしまう。

アリオンは最後に一曲歌わせてほしいと願って、歌う。すると、それを詩人の守護神アポロが聞き、身を投げたアリオンを一匹のいるかが救うのだ。

こういう絵がリヴィング・ルームに描かれていることから、オーナーはかなり知性の高い人ではないかと思われる。詩や文学や歌が好きで、決してお風呂にばかり入っている人ではない。

この絵のアリオンは漂流しているところで、まわりには美しい海のニンフ、ナイアードが描かれる。自分で鏡を見てうっとりするほどの美しさなので、たぶん、他の人もアリオンよりこちらに惹かれるだろう。

下半身が魚のトリトンが槍だか銛だかを持っているが、狙っているのはドラゴンで、アリオンではない。天使が大勢いるかに乗っていて、平和で豊かなシチリアの海だ。海なのに牛や虎もいて、これはご愛嬌。

CIMG1727.jpg

キューピットが虎につかまって泳いでいる。とてもユニークな発想ね。

インデックスカサーレ荘概要のページにあります。
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posted by iconologist at 11:17| Comment(0) | '06 古代ローマン・モザイクの解読 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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