2014年03月05日

ローマ国立博物館アルテンプス宮(6)ルドヴィージの石棺とマントルピース

2012年3月23日 ローマ国立博物館アルテンプス宮(6)ルドヴィージの石棺

この石棺は3世紀のもので1612年に発掘されてルドヴィージ家の所有となった。

515sacludovisi - コピー.jpg

彫りが深くモチーフの密度が濃く、相当のお金を払わないとできない作品だ。
当時の皇帝の身内のものではないかとも言われている。
3世紀には実際に戦場に出た皇帝もいたのでうなづける話である。

石棺には戦争のモチーフが多い。功成り遂げた人はほとんど軍人であるからだ。

しかし、中央の主人公と思われる人はどこかのんびりした顔をしている。
伸ばした右手も戦争のポーズではない。さよなら、と手を振っているようだ。
彼の額にはミトラ神の約束の印、Xが彫ってあるのだという。

石棺の上にはアレスの胸像が飾ってあるが、関連はないと思う。

515sacludovisi.jpg

軍人の神、アレスだから、ここに飾ったのだと思う。

マントルピースは16世紀からここにあったものなのだろう。

516.jpg

516 - コピー - コピー.jpg

立派なマントルピースだ。

516 - コピー.jpg

上段には枢機卿のレリーフが飾ってある。赤い服を着ている。
posted by iconologist at 15:47| '12 ローマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ローマ国立博物館アルテンプス宮(5)プライベートな礼拝堂

2012年3月23日 ローマ国立博物館アルテンプス宮(5)プライベートな礼拝堂

ローマ国立博物館アルテンプス宮だけでもう(5)になった。
一ヶ所でこんなに書くことがあるなんて信じられないが、まだ(6)(7)と続く。
連続ドラマでも書かせたら私はかなりイケただろうと思ったりする。

ここには書き残しておきたいものばかりあるのだ。

そのひとつが屋敷内にあるこの礼拝堂。

518.jpg

ヴィスコンティの映画〔山猫〕では貴族の家族は村の教会に行くが、大金持の貴族はこういうプライベートな礼拝堂で日曜のミサをしていたのだろう。

523.jpg

入口では由緒正しさが威圧するが、構わず中に入る。

天井のフレスコ画が素晴らしい。

520.jpg

519.jpg

天国の鍵を抱える天使たち(putti)、十字架を持ち上げる天使たち(putti)。
黒い円形の中に見えるのは太陽神で、魚の尾を持つ海馬のようなものが描かれていた。

縁には十字架を掲げる白い服を着た大天使の後には天使たち(putti)が続く。

522.jpg

反対側の絵には斧や槍のようなものを持った兵士風の天使たち(putti)の行列が描かれている。

天井の中央には父なる神が描かれ、天使が王冠を載せようとしている。

521.jpg

すてきな天井画に見とれて、側壁など撮ってくるのを忘れたが、フレスコ画が残っている。
正面の祭壇はやはり天使たち(putti)のスタッコ(または大理石)で飾られていた。
posted by iconologist at 09:59| '12 ローマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月04日

ローマ国立博物館アルテンプス宮(4) 美しき神々の彫像

2012年3月23日 (4) 美しき神々の彫像

古代ギリシャでは神々は女性も男性も美しく造られた。

その中でも常に女性をうっとりさせるアポロン

502apolon.jpg

2体とも竪琴を弾くポーズだ。

503apolon.jpg

この2つに限って言えば、それほど魅力的ではないが・・

最も美しいのはこのヘルメス。均整の取れた美しい肉体美に酔いしれる。

544hermes oratore.jpg

〔演説者ヘルメス〕だが、前の空間が広いのでいかにも演説をしているようだ。

544hermes oratore - コピー.jpg

持ち物としては帽子だけ。他のものをつければどの神にも汎用できる。

こちらもヘルメスで、頭はないが良い場所を与えられている。

545hermes.jpg

545hermes - コピー.jpg

頭が無いので当然帽子はなく(爆)、蛇のついた杖を持っている。
壊れた跡の見える足はサンダルを履いていたように見える。

やはり大きな部屋に置かれたアレス

552ares.jpg

ベルニーニが修復したのは多分このアレスだ。

552ares - コピー.jpg

ちょっと丸い背中が戦いの疲れを感じさせる。

反対側から見ると、足にまとわりつくプットが見える。

540ares.jpg

プットはいつもアレスの回りで遊ぶのである。

バッカスとパン。バッカスはブドウの房を握っている。

508baccus.jpg
このパンはおとなしい。

愛らしいダフニスとパン

511 pan e dafni.jpg

このパンはイヤラシサ全開。

ここにはヘラクレスが2体

543hercules.jpg

奥が年老いたヘラクレス

543hercules - コピー (2).jpg

手前が若いヘラクレス

543hercules - コピー.jpg

ヘラクレスは巷でたいへん人気があったが、神々ではなくてちょっと格下。
美しいヘラクレスは見たことがない。

神々以外の彫像も造られている。

松明を持つ人、聖火ランナーだろうか。

509dadoforo Portatore di fiaccola.jpg

私はオリンピックは必要ないと思っているが、ソチでは聖火が途中で消えてライターで火をつけていたのが面白かった。ただのイベントで聖火の意味も何もないことがよく見えた。

兵士

542guerriero.jpg

ヘルメスの次に気に入った彫刻。
足の指を見て! 人間の生足としか思えない!

〔自害するガラテア人〕まず、妻を殺そうとしている。

514galata suicida.jpg

517 galata suicida.jpg

この彫刻についてはカピトリーニ美術館の〔瀕死のガラテア人〕と一緒に書いた。



posted by iconologist at 20:54| '12 ローマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ローマ国立博物館アルテンプス宮(3)、古代の女神たち

2012年3月23日 ローマ国立博物館アルテンプス宮

優れたギリシャ彫刻のローマンコピーの中から、女神を選んでみよう。

まずはクニドスのアフロディーテ(私は学者じゃないので、適当にギリシャ名やラテン名になります)

 504aphrodite cnidia.jpg

カピトリーニ美術館のヴィーナスの記事で金貨に描かれたクニドス島のアフロディーテについて書いたが、それにとても似ているのがこのアフロディーテだ。

水浴するアフロディーテ

 536aphrodite.jpg
後ろでクピドがバスタオルを広げていてかわいい。

女神の中で一番頭が良かったカリオペはいつも物を書く姿勢

 512 calliope.jpg

オルフェウスの母で愛人との間にも数人男の子を産んでいる女性の雰囲気ではないが・・

ボールみたいな地球儀を持っているウラニア

 513urania.jpg

アモールとプシケ

535amoreepsiche.jpg

この角度からみると、プシケのしつこさがよくわかる。元祖ストーカー

ジュノーだか、エンペレスだか

538.jpg

大きな顔です。

エジプトの彫刻

546.jpg

異国の文化も流行っていてコピーが造られた。

ペネロペのお母さん、デメテル

501demetra.jpg

505demetra.jpg

頑丈な大地の母。

さて、これは誰? 猟犬を抱えるようにしているから、ディアナか?

506diana.jpg

犬を抱いているのは初めて見た。

こちらも分からなかった。

547dianaコピー.jpg

ひらひらしたきれいな服だからMaenadかと思ったが、額をズームしてみたら月がついていた。
というと、ディアナか。

それで、前の写真もズームしたら、額に何かが剥げたあとがあるような、無いような。
鼻が壊されたとき(今はきれいだけど、たぶん)一緒に落ちたとか。




posted by iconologist at 17:46| '12 ローマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ローマ国立博物館アルテンプス宮(2)ルドヴィージの玉座

2012年3月23日 ローマ国立博物館アルテンプス宮(2)ルドヴィージの玉座

初めてローマを訪れた若いころ、ローマ国立博物館はディオクレティアヌス帝の浴場跡にあった。

正確にはミケランジェロが設計した回廊のあるカルトジオ修道院。

そこでこのルドヴィージの玉座に出会い、もう一度見たいと思った。

537Ludovisi throne.jpg

玉座は広々とした空間に置かれ、その価値にふさわしい場所を得ていた。

海から引き上げられるアフロディーテなのに、ルドヴィージの玉座と呼ばれるのは、これがアフロディーテとは確信されなかったからだ。

世界にふたつと同じ意匠が無いのである。(ボストン美術館のフェイクを除いては)

両脇の女性の立っているところが土の上であることから、地中から出てくるペネロペ(それで春になる)ではないかという説もあった。これはペネロペが衣服を着ているのが普通であることから定説とならなかった。

アフロディーテであると分かったのは、1982年イオニア様式のアフロディーテ神殿が発見されたとき、その壊れた台座にこのレリーフがぴったりと入ったからだった。紀元前480年のものだということも分かった。

1900年にイタリア政府は没落したルドヴィージ家の彫刻108体を購入した。没落しなければこのアフロディーテも貴族の館にひっそりと飾られていたことだろう。

もっとも、審美眼と金のある貴族、枢機卿が美術品を集めなければ長い年月の間に失われてしまったわけで、買い漁る金持を悪くは言えない。ありがたく拝観するとしよう。

posted by iconologist at 16:55| '12 ローマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ローマ国立博物館アルテンプス宮(1) 16世紀が残る素晴らしい建築

2012年3月23日  ローマ国立博物館アルテンプス宮は、今回の重点地区ナヴォナ広場周辺でも一番行きたかった場所だ。

近代的なチケット売り場から一歩中に入ると、ロッジャに囲まれた中庭がある。

500.jpg

16世紀にアルテンプス枢機卿が住んでいたパラッツォで、修復はされているが、全体に昔の名残が残っている。

その中に貴族たちが集めた美術品が飾られている。

547diana.jpg

543hercules.jpg

大きな空間が与えられて、各々の作品がその魅力を存分に発揮している。
他の美術館とは全く違う趣だ。

壁には少しづつだが、フレスコ画の残りが見える。

507.jpg

541.jpg

510.jpg

こういうディテールも味があって素敵だ。

ドアは取り払われたのか無くて、石組みだけが残っている。

550 hermes oratore.jpg

エルメス像が額縁に入ったように見える。展示場所にも抜群のセンスが感じられる。

3重の額縁の向うにアフロディテが見える。

553.jpg

近づいて行くと、アフロディテはフレスコ画で飾られた美しい部屋のシャンデリアの下にかがんでいるのであった。すばらしい美術的誘導である。

534.jpg

アモールとプシケの像もあるのでアフロディテも寂しくない。

2階(first floor)から中庭を見下ろす。

551.jpg

いつまでも居たいと思うが、次に向かわなくては。

554.jpg

555.jpg

素晴らしい時間だった。
もう一度ローマに来ることがあったら、必ず来るだろう。
今回のように人のいない朝に。

556.jpg

振り返って見るアルテンプス宮の正面。ふつうの家のようなそっけなさ。

貴族たちは閉鎖的な建物の内側で思い切り富を楽しむのだ。
アルテンプス宮ではそれを想像することができた。
2008年にドーリア・パンフィーリ宮殿に入った時と同じように。
posted by iconologist at 13:06| '12 ローマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月03日

サンタゴスティーノ教会(3)、ラッファエッロのフレスコ画

2012年3月23日 サンタゴスティーノ教会(3)、ラッファエッロのフレスコ画

ローマではラッファエッロの絵はヴァチカン以外ではあまり見ないので、どこに描いてあるのだろうか、と思ったら、柱の上部の小さな絵だった。

487.jpg

これを見て、システィーナ礼拝堂のミケランジェロを思い出す人が多いみたいだが、資質が全く違う。

私が思い出したのは、フィレンツェのサンタ・マリア・ディ・カルミネ教会のブランカッチ礼拝堂に描かれたマザッチョのフレスコ画だ。

498 - コピー.jpg

ミケランジェロも含め、後代の画家たちはここを訪れて彼の絵から学んだのだが、優美な色彩を最もよく受け継いだのがラッファエッロだ。

なぜ柱の上に描かせたのだろう。彼の絵はミケランジェロのように下から眺める絵ではない。

498.jpg

下の彫刻の位置にあったらよかったのに、と思うが、それでは今まで残っていなかったかもしれない。
やはり、手の届かない作品は手の届かない場所に置くべきなのである。

参考にしようと自分の書いたブランカッチ礼拝堂の記事を探したら、無かった。
ああ、そうだった、当時は絵葉書を買い、その裏に感じたことを書いていたのだった。

若い時に感激したことをなぞって今頃書くのは変だから、アナログのままにしておこう。

絵画といえばここサンタゴスティーノ教会にはカラヴァッジョの傑作があるということだけれど、カラヴァッジョは嫌なので探しもしなかった。

たとえ有名でも傑作でも、好きでなければ見なくてよい。
特に、ああいう人生を送った人の絵は見ると〔凶〕がうつるから避ける。
posted by iconologist at 16:54| '12 ローマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

サンタゴスティーノ教会(2)、チャペルの彫刻

2013年3月23日 サンタゴスティーノ教会(2)、チャペルの彫刻

サンタゴスティーノ教会のこのチャペルは白い大理石のゴシック彫刻で飾られている。

497.jpg

カトリック教会で良く見られるふつうの彫刻だが、

良く見ると、ぜんぶ枢機卿である。

497 - コピー.jpg

子供を抱いた女性が枢機卿にすがるという構図になっている。
女性と子供の味方だったのだろうか。

こちらのチャペルもよくある構図だが、

489 - コピー (3).jpg

主役は天使が抱える肖像画にある枢機卿である。

489 - コピー (2).jpg

中央には偉そうな鷲がでんと描かれている。

右側の彫刻は軍神アレスかと思ったが胸があるのでミネルヴァだろう。

489 - コピー - コピー.jpg

左の子供を抱えている女性は体をよじって上の枢機卿の方を見ているから、信者だと思う。

面白いもの見つけた。

489 - コピー.jpg

燭天使の顔の代わりに髑髏が描かれている。

サンタゴスティーノというのは枢機卿のタイトルのひとつである。
ということで、枢機卿の絵や彫刻が多いのであった。
posted by iconologist at 15:11| '12 ローマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

サンタゴスティーノ教会(1)美しい床と天井

2013年3月23日 サンタゴスティーノ教会(1)美しい床と天井

サンタゴスティーノ教会の界隈は狭く庶民的だ。

483.jpg

木の彫刻をするコドニョッティさんのお店

作品の矢印が壁に貼ってある。

482.jpg

方向は正確ではないし、TAXI⇒の先にタクシー乗り場はないが、面白い。

サンタゴスティーネ教会の前の広場は駐車場になっていて、車がぎっしりと留っていた。

484.jpg

さっさと入ろうとして、階段だけは撮ったが、ローマに残る中世教会建築のファサードのひとつを撮るのを忘れた。

入ると、外観とは全く違う美しい世界が広がっていた。

485.jpg

私はこの深い秋色の色彩が気に入った。

惚れ惚れとする大理石の色。

486.jpg

美にはコズマーティ様式である必要はない。

この教会はずっと教区の教会だったせいか、お花が供えられたりしている。

491.jpg

492.jpg

観光向けの教会ではなく、身近な教会という感じがする。

この手の込んだお墓は偉い人のものだろう。枢機卿とか。

490.jpg

向う側から見れば名前がわかるが、こちらの模様に惹かれただけなので・・

天井はサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会と同じく青いフレスコ画だ。

488.jpg

その下を奥の祭壇に向かう。

499.jpg

アーチの内側が黄色く照らされ、クーポラのあたりには光が溢れている。
白い光が差しているように見えるが、天井の修復のための安生。

クーポラの天井は新しく見えるほど美しいが、修復されたものだと思う。ユニークなデザインである。

496.jpg

496 - コピー.jpg

小窓の奥に神がいるのが素敵。
posted by iconologist at 13:04| '12 ローマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月02日

サンティーヴォ・アッラ・サピエンツァ教会

2012年3月23日 サンティーヴォ・アッラ・サピエンツァ教会

サピエンツァ宮はラ・サピエンツァと呼ばれたローマ大学が大学都市に移転してからは国立文書館となっている。

477.jpg

壁は剥げ、殺風景な入口

中庭の向うにサンティーヴォ・アッラ・サピエンツァ教会が見える。

479.jpg

480.jpg

ここはもともと大学に付属した礼拝堂だった。

バロックの建築家、ボッロミーニは装飾過剰で苦手だ。

481 - コピー.jpg

ねじった尖塔、楕円形の壁など、ユニークではあるらしいが、後世に誰も受け継いでいないところを見ても一発の花火で終わった方。

ここから見る教会がそれほどごてごてしていないのは下半分がすっきりしているからだろう。

サンティーヴォ・アッラ・サピエンツァ教会に寄ったのはこの中庭を見るためだ。

481.jpg

478.jpg

修道院の回廊とは趣が違うが、回廊があると聞けば必ず赴く私。

ラ・サピエンツァとは知識の意味だが、最近、ローマ大学はこのラを取り除き、サピエンツァ ローマ大学と名前を修正した。〔ザ・知識〕では重かったのかもしれない。

ザといえば、昨日新幹線で東京に戻るとき、電光掲示板を見ていたら、THE SHINKANSEN HIKARIとTHEがついていた。このTHEも要らないと思う。どうでもいいことばかり考える私。
posted by iconologist at 15:14| '12 ローマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
,
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。